フィンランドショックから考察してみる。

フィンランドショックってなに?

フィンランドと言えば、最近ではサウナの国として覚え愛でたいかもしれません。
またはムーミン、オーロラ、マリメッコ…。
そのフィンランドに「フィンランドショック」なる出来事があったことはご存じでしょうか。

フィンランドショックとは、1985年から1993年にかけてフィンランドで実施された二重盲検無作為化比較試験の結果のことで、想定と違う結果になったことで世界中の医療関係者にけっこうな衝撃(ショック)を与えたことから、そのように呼ばれるようになりました。

実際にどんなフィンランドでどのような試験をしたかの前に。
前提として、疫学調査でがんになりにくい人の食生活を調べてみたところ、野菜をたくさん召し上がっているのが明らかとなりました。中でもβカロテンの摂取量が多い方ががんになりにくいのがわかったのです。
そこで、喫煙者を2群に分け、一方にはβカロテンのサプリを、もう一方は偽薬(βカロチンを含まないもの)を飲ませて追跡調査しました。(これが二重盲検無作為比較試験です)
βカロテンを飲んだ群のほうが肺がんのリスクが下がると予想していたのに、実際は逆でリスクが高くなってしまったのです。
同じような研究をその後ほかの施設でも実施したのですたが、結果は同じで、βカロテンのサプリを摂った方たちのほうが肺がんを増やすという結論に至りました。

βカロテンを含む野菜たちを食べるとがんが減るという事実はあるものの、その成分だけを抽出した場合は、がん予防になる保証がないということです(摂取量が多すぎて、期待と真逆の結果になった可能性も否定できません)。
もしくは、野菜に含まれる様々なピタミンやミネラルが連携して、身体に作用を及ぼした可能性もあります。
今の世の中、ほんとうに多種多様なサプリが出回っていますが、合成したものや量が多いものの場合、それを摂り続けたとき、身体にとって本当にいいことかの証明はできていないのです。

なぜなら、食べ物に含まれる成分の一部だけを集中的に摂ったとき、それは果たして自然なことと言えるのでしょうか。

何かだけを抽出したり凝縮した食べ物は、本来の形を留めていません。
食べ物たちは、まるごと全部食べたときに、きちんと身体でうまく機能してゆきます。
であれば、「ホールフード(一物全体食)」こそが自然の姿であり、わたくしたちの身体に負担の(少)ない形で摂取できるのではないでしょうか。

捨ててしまわれがちな野菜くず。ここには、実は大事な栄養素がたくさん含まれています。
日ごろからくホールフードを心がけると、必要な栄養素をまるごと過不足なく摂取することができます。
(とはいえ、農薬の問題などがありますので、無農薬や減農薬を選べた方がいいですし、それが難しい場合はしっかり洗ってから食べるようにいたしましょう)

とどのつまり、○○がいいという成分があったとしても、それだけをサプリのような形だったり、単体で摂取することはあまり意味がないどころか、時には身体に害を及ぼす可能性があるということです。
反対に、食べ物をまるごといただく習慣があると、日常的に様々なビタミンやミネラルを余すことなく摂取でき、それが身体にとっていい作用となって表れてくれます。

 セサミンを摂るなら ゴマを
 エクオールを摂るなら 大豆を
 βカロテンを摂るなら にんじんを
 カルシウムを摂るなら 小魚を

“自然遠のけば、病近づく” です。
成分単体ではなく、食べ物として、全体で摂っていきませんか?

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